誰がアパレルを殺すのか

誰がアパレルを殺すのか

誰がアパレルを殺すのか

日経ビジネスに広告が出ていておもしろそうだったので読みました。アパレル業界大手の販売が思わしくないとのことで、その理由について業界の歴史や商習慣なども含めて説明しています。また、アパレル業界の常識を打ち破る形で成長している新興勢力についても説明されています。記者の方が書かれていることもあり、文章はとても読みやすかったです。産業としてアパレル業界について学びたい人であれば最初に読んでみるといいと思いました。

日経ビジネスのアパレル業界や百貨店に関する特集記事とも一部内容が重複していたため、半分ぐらいは読んだことがある内容でした。とはいえ、書き下ろしの内容もありますし、一冊の本としてまとまっているので、知識が整理できてよかったです。2章の戦前からのアパレル業界の歴史も俯瞰できてよかったですし、3章のエバーレーンやゾゾタウン、4章のジャパンブルー、メチャカリの事例もおもしろかったです。例えばジャパンブルーの欧米の販路開拓の中で「例えば欧州では小売店間のつながりが強く、オーナー同士が国をまたいで知り合いという場合が非常に多い」みたいな話はおもしろかったです。私自身は服にはあまりお金をかけないというか、ブランドなども全くわからないので、知らないことが多くてそういう意味でも楽しめました。

前々から夏に暑くてTシャツを買いに行ったら長袖が売っていて、冬に寒くて長袖や防寒着を買いに行ったら薄手の春物しか売ってないのが疑問で仕方がなかったのですが、その背景が多少なりとも理解できました。あと、常にセールしてて、定価ってなんだろうという気持ちになってたので、その辺りの問題が解消されるといいなと思います。それと、この本の家電業界版があったら読んでみたいなと思いました。やはり比較することで物事は相対的に捉えられますし、アパレル業界の現状はアパレル業界固有の問題なのかもう少し一般化できる問題なのか知りたいと思いました。