ポケット版 ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本

ポケット版 ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本

ポケット版 ビッグ・ファット・キャットの世界一簡単な英語の本

同僚がよい本だよと紹介していたので読みました。とてもよかったです。文法用語を一切使わずに英語の基本的な文法構造を説明しようとする本でした。英語の学習方法は「読む」ことであり、そのために必要な基本のルールを紹介するという方針で書かれていました。英文法に苦手意識がある人が読むとよいと思いました。

本書の構成としては、準備編と実践編と応用編の3つに分かれています。実践編では実際に簡単な文章を読みます。その準備として準備編で英語の文章を読むために必要な基本のルール(文法)を解説する構成になっています。応用編は冠詞と前置詞についての解説です。

準備編では基本のルール(文法)を説明していますが、特徴的なのはあくまで文法用語を使わない点です。まずは基本である主語と動詞と目的語で構成される文章について、箱と矢印を使って説明しています。次に副詞について矢印(動詞)に対する付録であると説明し、その順序は一般的な傾向はあるにしても自由であるとことについて説明しています。そして最後に形容詞を箱(名詞)に対する化粧品として説明しています。その後は他の文型なども文法用語を利用せずに箱と矢印の説明の延長で説明しています。

実践編では2つの物語を準備編で学んだルールを使って実際に読みます。文毎に区切り位置を入れて、文章の構造を確認できるようにしてくれています。

感想としては、英文法の用語を使わないようにしたことが正しいのかどうかは判断しかねるとこでした。多少は知っているのでついついマッピングしようとしてしまい、読んでいる間は覚えておく必要がある用語が倍になった印象があったので。とはいえ、箱と矢印で文の構造を解説しようとする試み自体はとてもよいと思っていて、個々の文法ルールを解説するのではなく、その背景にある仕組みを説明してくれていたと思うので、とてもよかったです。こういう英語の考え方とか見方のようなメタな話を書いてある本を読んだのは初めてだったので。今まで勉強してきた中でずっと疑問に思っていたことの何割かは解消した気がします。

あと個人的には8章のカスタムアレンジが印象的でした。言語自体は生き物で、日本語でも「それってすごくなくない?」みたいな言い方が生まれているように、英語も同様で基本形が変形してできた応用表現がいろいろあるし、今現在も生まれているという内容です。日本語自体が非常に曖昧なのに、英語に厳密さを求めていたことに気付かされて、諦めと安心の両方の気持ちになりました。日本語でもその分野独特の言い回しなどは理解できないことがあるのに、英語で理解できない英文があることを気にしても仕方ないという意味です。

全体的にとてもおもしろく、かつ、勉強になる本でした。暫くはこういう本を探して読んでみるつもりです。