この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本

コーチングの本3冊目です。コーチ・エィが提供するエグゼクティブや組織向けのコーチングのやり方と事例について説明している本です。コーチングによる目標達成を支援するプロセス全体を知りたい人におすすめの本だと思います。

本書の構成としてはまずはコーチングは「対話を重ねることを通して、クライアントが目標達成に必要なスキルや知識、考え方を備え、行動することを支援するプロセスである」と定義します。そして、コーチングを行う際の全体のプロセスについて説明します。具体的にはまずリサーチとプランニングを通じて目標設定を行い、その後実際にコーチングを実施し、振り返りを行って次のサイクルを回します。次の2章ではコーチが用いるPossession(ポゼッション:身につけるもの)、Behavior(ビヘイビア:行動)、Presence(プレゼンス:考え方、信念)の3つの視点について説明します。3章ではコーチが備えるべき双方向、継続性、個別対応という3つのマインドについて説明します。4章では改めてコーチングのプロセス全体について説明します。具体的には①セットアップ、②目標の明確化、③現状の明確化、④ギャップの原因分析、⑤行動計画の作成、⑥フォローアップです。5章ではコーチングを実践する際によく利用する代表的な7つのスキルと実践例について紹介しています。具体的には聞く、ページング、質問、アクノレッジメント、フィードバック、提案、要望です。実践例は自動車メーカーのマネージャーとIT関連機器会社の社長への2つの実践例が記載されています。最後の6章では組織全体に働きかけるシステミック・コーチングの事例について4つ紹介しています。

エグゼクティブや組織向けのコーチングの具体例を知れて参考になりました。エグゼクティブ向けであればコーチはコーチングのスキルだけでなく事業ドメインや経営に関する知見も求められる印象でした。組織向けのコーチングの場合はアナリストと連携しており、こちらもコーチングのスキルだけは達成できない印象でした。また、どちらもアンケートを用いて現状把握と進捗確認をしているのが印象的でした。現在やっている内製化支援のビジネスでもコーチングをアクティビティの1つとして提供していることもあり、比較して色々と考えることができる本でした。あたり前のことなのですが、どのような方法であれビジネス上の課題に対して進捗を出していく必要があることを再確認できました。