ゾンビスクラムサバイバルガイド

スクラムについてもう少し書籍を読んでみようと思って読みました。スクラムを実践するなかで陥る問題とその対処方法について説明しています。チームで意見を出す方法が多数紹介されているので、実際にスクラムでプロジェクトをやっている人だけでなくチームで意見を出すファシリテーション手法を学びたい人にも参考になると思いました。

本書の構成はとしてはまずは1部でゾンビスクラムとその具体的な症状について説明します。次に2部〜5部で主要な症状毎に原因と解消に向けて試せる各種手法(実験)を紹介します。目次は以下のとおりです。詳細な目次は ゾンビスクラムサバイバルガイド - 丸善出版 理工・医学・人文社会科学の専門書出版社 を参照してください。

  • 第1章 はじめに
  • 第2章 応急処置キット
  • 第1部 (ゾンビ)スクラム
  • 第2部 ステークホルダーが求めるものを作る
    • 第5章 症状と原因
    • 第6章 実験
  • 第3部 速く出荷する
    • 第7章 症状と原因
    • 第8章 実験
  • 第4部 継続的に改善する
    • 第9章 症状と原因
    • 第10章 実験
  • 第5部 自己組織化する
    • 第11章 症状と原因
    • 第12章 実験
  • 第13章 回復への道

非常に実践的な実験が多く紹介されていて参考になりました。スクラムに関係なくチームでアイディアを出したり合意形成を得る際に利用できそうな印象でした。後は自分たちでできることを探すというコンセプトだからだと思うのですが、基本的にボトムアップな手法が紹介されている印象でした。スクラムらしいと言えばスクラムらしいのかもしれませんが。

これまでに何冊かスクラム関連の書籍を読み、実際に案件でもスクラムを適用していて思うのは、ビジネス自体の構造がスクラムのコンセプトにあっていない場合、開発だけスクラムにしてもうまく回らないだろうなという点です。本書はそのような制約があっても少しずつ現場から変えられるところを探すというコンセプトなので、それはそれで大切なことだと思いました。一方で、スクラムはあくまでも手法なのでビジネスの構造や状況に合わせて手法も柔軟に対応するほうが合理的なのかなと思いました。