異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

異文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養

なんとなく良さそうだったので読みました。大当たりでした。文化的な背景が異なる海外の方と仕事をする人向けの本だとは思いますが、相対的に物事を考える際の視点を補強してくれる良い本だと思いますので、海外の方と仕事するかどうかに関係なく読んだ方がよいと思います。

本書はビジネススクールで異文化マネジメントを教えている著者が経験した様々な事例について解説しています。様々な国のメンバーが異なる国のメンバーと働いた際に発生した文化的な背景の差からくるトラブルとその解決方法について説明しています。コミュニケーションにおける振る舞い方や勤務評価、リーダーシップや決断、生産性やスケジュールに対する考え方の違いなどが実際の事例を元に書かれており非常に読みやすいです。どの事例もお互いに悪意があるわけではなく、あくまでも文化的な差異からお互いの真意を勘違いすることでトラブルが発生します。そして、どのように対応すればよかったかまでが描かれており参考になります。具体的には以下のような切り口にまとめられています。

  1. コミュニケーション:ローコンテクストvsハイコンテクスト
  2. 評価:直接的なネガティブ・フィードバックvs間接的なネガティブ・フィードバック
  3. 説得:原理優先vs応用優先
  4. リード:平等主義vs階層主義
  5. 決断:合意志向vsトップダウン
  6. 信頼:タスクベースvs関係ベース
  7. 見解の相違:対立型vs対立回避型
  8. スケジューリング:直線的な時間vs柔軟な時間従

本書では前述の観点で国ごとの違いをグラフにまとめたものをカルチャー・マップと呼んでおり、ヨーロッパ圏やアジア圏の中でも国によって特性が似ている部分もあればまったく正反対の特性のケースもあることが示されており非常に勉強になりました。確かに日本の中でも県民性とか言ってるぐらいなので、それが国単位で違うのは当然だと認識を改めました。

あとは決断の違いも非常に納得感がある内容でした。例としてアメリカとドイツの決断の違いを挙げており、アメリカの決断は早い代わりに決定後も何度も変更があることに対して、ドイツは決定に時間を掛ける代わりに決定後は変更をしないというものでした。現職も非常に決断が早い代わりに決定後も状況に応じて変更を繰り返すのですが、これは文化差によるものだと理解することができました。そういう意味でも非常に気付きが得られる書籍だったと思います。